『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』書評|具体と抽象を鍛える方法

読書

「もっと具体的に説明して」

「結局、何が言いたいの?」

仕事でこのように指摘されると、説明の仕方だけに問題があると思いがちです。しかし、本当の原因は、説明する前の段階で情報を十分に整理できていないことかもしれません。

『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』は、仕事で求められる思考力を51問のクイズ形式で学ぶ本です。

本記事では、本書が扱う「具体化」「抽象化」「具体と抽象の往復」という考え方を、仕事や情報発信で使える形に整理します。

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』とは

『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる 「仕事ができる人」になる思考力クイズ51問』は、権藤悠氏によるビジネス書です。

書籍の基本情報は次のとおりです。

  • 著者:権藤悠
  • 出版社:SBクリエイティブ
  • 発売日:2024年3月2日
  • ページ数:296ページ
  • ISBN:9784815624538

国立国会図書館では、2024年3月刊、295ページとして登録されています。ページ数は書誌情報によって表記が異なる場合があります。

著者の所属会社が公開しているプロフィールによると、権藤氏はデロイト トーマツ コンサルティングで勤務した経歴を持ち、同社内で上位1%とされる「S評価」を受けたと紹介されています。

ただし、これは著者の所属会社が公表している経歴です。本記事では、第三者機関によって独立して検証された評価としてではなく、会社プロフィール上の情報として扱います。

本書の特徴は、解説を読むだけでなく、51問の思考力クイズを通じて自分の考え方を確かめられることです。

「知識を増やす本」というより、物事の見方や考え方を練習するための本と考えると分かりやすいでしょう。

「解像度が高い」とはどういうことか

仕事における「解像度が高い」とは、単に詳しいことではありません。

曖昧な情報を整理し、目的に合わせて、必要な粒度で説明できる状態だと考えられます。

例えば、上司から次のように言われたとします。

来月までに、ブログの成果を改善してください。

この言葉だけでは、何を改善すればよいのか判断できません。

  • 検索結果での表示回数を増やすのか
  • 記事のクリック率を上げるのか
  • 商品リンクのクリックを増やすのか
  • 読者の滞在時間を延ばすのか
  • 問い合わせや購入につなげるのか

このように分けると、同じ「改善」でも取るべき行動が異なることが分かります。

解像度を上げる目的は、細かい情報を際限なく集めることではありません。意思決定や行動に必要な違いを見えるようにすることです。

解像度を高める3つの思考

本書のテーマを理解するうえで重要なのが、具体化、抽象化、そして具体と抽象の往復です。

ここでは分かりやすくするため、写真にたとえて説明します。この写真のたとえは、LeapReadsによる整理です。

1.具体化する

具体化とは、大きく曖昧な言葉を、確認できる要素や行動に分けることです。

「もっと分かりやすい記事にする」という目標だけでは、何を直せばよいのか決まりません。

そこで、次のように問い直します。

  • 誰に向けた記事なのか
  • 読者は何に困っているのか
  • 読後に何を理解してほしいのか
  • 読者に次に何をしてほしいのか
  • どの箇所で読むのをやめているのか

これは、写真の画素を増やして細部を確認する作業に似ています。

ただし、細かく分けること自体が目的ではありません。次の行動を選べるところまで具体化できれば十分です。

2.抽象化する

抽象化とは、複数の出来事から共通する構造や法則を見つけることです。

例えば、次の3つの問題が起きたとします。

  • 会議の説明が伝わらなかった
  • ブログ記事が読まれなかった
  • AIから期待した回答を得られなかった

一見すると別々の問題です。しかし、共通点を探すと「相手に求める行動や前提条件を明確にしていなかった」と整理できるかもしれません。

この共通点が見つかれば、個別の失敗を一件ずつ直すだけでなく、今後の説明、記事作成、AIへの指示に同じ学びを応用できます。

抽象化には、情報を削って本質をつかむ役割があります。一方で、根拠のないまま抽象化すると、単なる思い込みになる点には注意が必要です。

3.具体と抽象を往復する

具体化と抽象化は、どちらか一方だけ使えばよいものではありません。

個別の事実から共通点を見つけ、その共通点を別の状況へ当てはめてみる。この往復によって、理解が行動へつながります。

例えば、顧客から次の意見が寄せられたとします。

商品の説明を読んでも、自分に必要なのか分かりませんでした。

ここから「商品の特徴だけでなく、どのような人の、どのような悩みに役立つのかを示す必要がある」と抽象化します。

そのうえで、次の記事では次のように具体化します。

  • 想定読者を冒頭で示す
  • 読者の悩みを一つに絞る
  • 商品を使う前後の変化を例示する
  • 向いていない人も説明する

抽象化によって他の場面でも使える学びを取り出し、具体化によって実際の行動へ戻しているのです。

仕事で使える5つの実践方法

ここからは、本書のテーマを仕事に応用するためのLeapReads独自の実践方法を紹介します。

書籍の文章をそのまま再現したものではなく、「具体と抽象を往復する」という考え方を日常で使いやすく整理したものです。

曖昧な言葉を観察可能な状態に変える

「しっかり対応する」「品質を高める」「分かりやすくする」といった言葉を使ったら、何ができれば達成なのかを考えます。

例えば「記事を分かりやすくする」なら、次のように置き換えられます。

  • 専門用語に説明を加える
  • 一文を短くする
  • 結論を先に示す
  • 手順に具体例を入れる

観察可能な状態に変えると、実行後の確認もしやすくなります。

問題を要素に分ける

「売上が伸びない」のような大きな問題を、そのまま考え続けても解決策は見つかりにくいものです。

売上であれば、顧客数、購入率、購入回数、平均購入額などに分けられます。ブログであれば、表示回数、クリック率、閲覧後の行動などに分けられます。

どの要素に問題があるかを確認してから対策を選びましょう。

複数の事例から共通点を探す

成功例や失敗例を見たときは、表面的な方法だけをまねるのではなく、「なぜ機能したのか」を考えます。

ただし、一つの事例だけから法則を決めつけるのは危険です。できれば複数の事例を比べ、共通点と相違点を確認します。

相手に合わせて説明の細かさを変える

上司には判断に必要な結論と根拠を、実務担当者には手順や条件を詳しく伝えるなど、相手によって必要な情報量は異なります。

詳しく話すことが、いつでも親切とは限りません。

最初に要点を伝え、必要に応じて具体例や数字を追加すると、相手が情報を受け取りやすくなります。

考えたことを次の行動に変える

分析を続けるだけでは、仕事の結果は変わりません。

最後に、次の3点を書き出します。

  • 今分かっていること
  • まだ確認できていないこと
  • 次に試す小さな行動

不明点を残したままでも、小さく試せる行動があれば前へ進めます。

AIへの指示にも解像度が必要

生成AIから思うような回答を得られないときは、AIの性能だけでなく、依頼内容が曖昧になっていないか確認する必要があります。

例えば、次の指示では判断材料が不足しています。

読まれるブログ記事を書いてください。

次のように条件を具体化すると、目的に合った回答を得やすくなります。

読書習慣が続かない30代の会社員に向けて、平日に15分で実践できる読書法を説明してください。結論を先に示し、実践手順を3段階に分け、過度な成功保証は避けてください。

ここでは、読者、悩み、利用場面、構成、表現上の注意点を具体化しています。

一方で、条件を増やしすぎると、AIの提案の幅を狭める場合もあります。最初は目的と必須条件だけを示し、出力を見ながら追加指示を出す方法も有効です。

解像度を上げれば必ず正解になるわけではない

解像度を高めることには利点がありますが、細かく考えれば必ず正しい答えが出るわけではありません。

情報が不足している状態で細部まで決めても、精密な思い込みを作るだけになる可能性があります。

また、すべてを具体化しようとすると、決断までに時間がかかります。仕事では、目的に応じて必要な解像度を選ぶことが大切です。

  • 今すぐ決める必要があること
  • 追加調査が必要なこと
  • 実際に試さなければ分からないこと

この3つを分けるだけでも、考えすぎによる停滞を防ぎやすくなります。

解像度の高さとは、情報量の多さではありません。相手と目的に合わせて、見る範囲と細かさを調整できることだと私は考えます。

この本がおすすめの人

本書は、次のような人に向いています。

  • 説明が抽象的だと指摘されることが多い人
  • 問題の原因をうまく整理できない人
  • 会議で考えを簡潔に伝えたい人
  • 具体例から共通する法則を見つけたい人
  • クイズ形式で思考力を練習したい人

一方で、業種別の細かな業務手順や、特定の資格に必要な知識を探している人には、目的が異なる可能性があります。

本書は答えを暗記するためではなく、自分の考え方の癖を見直すために読むのが適しています。

まとめ:必要な細かさまで考え、再び行動へ戻す

『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』から学べる重要な考え方は、物事を細かく見ることだけではありません。

  • 曖昧な問題を具体的な要素に分ける
  • 複数の事例から共通点を見つける
  • 得られた考えを再び具体的な行動へ落とし込む

この往復が、説明、問題解決、情報発信、AIへの指示などに役立ちます。

まずは今日使った「しっかり」「改善する」「分かりやすく」といった曖昧な言葉を一つ選び、何を意味しているのか書き出してみてください。

一つの言葉を具体化することが、解像度を高める最初の練習になります。

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