その間取りには、ウラがある。

読書

不動産とミステリ。一見無関係なこの二つを巧みに掛け合わせ、知的好奇心を刺激する一冊に仕上げたのが、乾くるみ著『物件探偵』です。物件情報に隠された「違和感」から真実を読み解く――そんな一風変わった探偵物語が、日常に潜むドラマの面白さを教えてくれました。今回の記事では、ネタバレを避けつつ、本作の魅力や気づきをたっぷりご紹介します。


📕 書籍情報

  • タイトル:物件探偵
  • 著者:乾くるみ
  • 出版社:講談社文庫(2024年)

1. この本を選んだ理由

普段から不動産情報を見るのが好きで、賃貸サイトを「趣味のように」眺める日々。そんな時に本屋で「物件探偵」というタイトルに目が留まりました。不動産×ミステリというテーマに惹かれ、帯の「物件には“真実”がある」という言葉に背中を押されて購入。SNSでも「地味にハマる」とじわじわ話題になっていたのも決め手の一つです。

2. 本の要点・概要

『物件探偵』は、元不動産営業マンの「私」が、友人や知人から持ち込まれる奇妙な物件情報の相談を受け、観察力と推理で「物件に潜む謎」を解き明かしていく連作短編集。
全7話収録されており、それぞれが独立した物語ながら、どこかでつながる構造も巧妙。
日常の「ズレ」を丁寧に拾うロジカルな展開が魅力です。

3. 印象に残った言葉・フレーズを3つ

「物件は、そこに住む人間の履歴書みたいなものなんですよ。」

「違和感は、真実の入り口だ。」

「普通じゃない間取りには、普通じゃない理由がある。」

4. この本から得た学び・気づき

最も印象的だったのは、「日常の違和感」にもっと敏感になろうという気づきです。本作の探偵は、鋭い観察力と知識で“ごく普通に見える部屋”の矛盾を見つけ出し、背景にある人間関係や事件を浮き彫りにしていきます。それはまるで、私たちの生活に潜む「不自然な空気感」を見逃さない力。

また、各話には“人間模様”の切なさや皮肉も織り交ぜられており、単なるトリックだけでなく「人間の弱さやずるさ」にも目を向けさせられます。読み終えた後、「あの空き部屋にも、誰かの物語が眠っているのかも」と思わずにはいられませんでした。

5. 明日から実践したいこと

  • 「なんかおかしいな」と感じたときに、その感覚を流さずに深掘りする。
  • 違和感を感じたら「なぜ?」と自問する癖をつける。
  • 職場や日常生活の中で観察力と直感を磨く。

6. こんな人におすすめ

  • ロジカルな謎解きが好きな人
  • 賃貸・不動産情報を眺めるのが好きな人
  • ハデな事件よりも「日常に潜むミステリ」に惹かれる人
  • 短編ミステリを気軽に楽しみたい人
  • 乾くるみの『イニシエーション・ラブ』が好きだった人

まとめ

乾くるみの『物件探偵』は、読む人の“視点”を一段上に引き上げてくれるような作品です。
「見る」ではなく「観る」力――そんな目線で物事を見れば、普段の生活の中にも物語が広がっていることに気づかされます。
物件に興味がある方はもちろん、静かにゾワッとする読後感を味わいたい方にもおすすめです。

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